「岬の兄妹」
映画漬けだったここ数日。巨匠の巧みの技を堪能しつつ、新人監督の「岬の兄妹」の破滅的エネルギーに気絶しそうになったことを書いておきたい。
脚の不自由な兄が、障碍者の妹に身体を売らせて日銭を稼ぐという物語を、無名の監督が撮ったと知ったときに、これは見たいと思っていた。
赤い筆文字でドドーンと画面を覆い尽くす、まるで東映ヤクザ映画のごときタイトルバックから、寂しい港町の風景、貧しくて死の一歩手前まで追い込まれた孤独な兄妹の姿が、生々しく描かれる。
この生々しさがもうなんというか、臭いものにかぶせた蓋をひっぺがして鼻先に押しつけられるというか、まぶたにマッチ棒立てられて直視することを強制されているような感覚。これはメタファーでもなくて、映画のなかに出てくるんだな。しかも、めちゃくちゃ笑えるシーンとして。悲哀って、乗り越えようとすると笑いになるのかな(うまいこと韻を踏んだようになってるけどこれ偶然)。そうすることで、生きる力に変わるのかもしれない。
売春で人から求められる喜びを初めて知り、輝いていく妹が最後、とても美しかった。
3/14(木)
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