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英日翻訳者・ライター。行けるとこまで行きます。

翻訳コンペ

ルーシー・ヴァイン著の小説「Hot Mess」の翻訳者を募集するコンペに参加した。

コンペに応募したのも、小説を翻訳したのもこれが初めて(といっても、実際に作業したのは、課題として出された第1章とエピローグだけだけど)。普段、仕事で毎日、翻訳はしている。でも、フィクションもの、しかもこれほどのボリュームを訳すのは経験のないことで、すごく戸惑うことが多かった。語尾とかリズムとか、「これでいいの?」と不安になったら、とりあえず本棚のすぐ手の届くとこにあった、デイヴ・エガーズ著の小説「ザ・サークル」の日本語版を開いて、確認したりした。本のジャンルが全く違うけどw

そして、何より問題だったのは、私のサル並みの集中力。ほんとMAX15分しかもたない感じで、訳につまるとすぐにヤフートピックスみたり、人のTwitterのぞき見したり、Daily Mailの投稿コメント読んだり(エリーと同じ!)、冷蔵庫開けたりして、そんな自分にほとほと呆れてしまった。

それでも、自分の中の演劇部メンバーを招集して、主人公から脇役までいろいろ脳内で演じさせながら、言葉にしていくのはとても楽しかった。小中学生の頃、授業中に好きな男の子との妄想ドラマを作っては、頬杖ついてニヤついていたのを思い出したりした。

Twitterでコンペ関連のハッシュタグを検索していると、参加した人たちが原書の面白さとか、訳をあてる難しさとかをツイートしていて、それがすごく心の支えになった。私は訳者としての自分にまるで自信がないんだけど、みんなそうなんだ、同じなんだとわかって勇気が湧いた。

残念ながら、コンペは負けてしまった。でも、最後の11人まで残れたし、自分ではやるだけやりきった充実感というものを久しぶりに味わえて、それだけでも挑戦した甲斐があったなと思っている。

ちなみに、課題を出し終わって「やれやれ」と大好きな映画「フランシス・ハ」を久しぶりに見たら、グレタ・ガーウィグが演じる主人公のフランシスが、「Hot Mess」のエリーに似てて嬉しい驚きだった。フランシスの葛藤も、親友との関係も、すごく重なるところがあったな。もし「Hot Mess」が映画化されたら、「フランシス・ハ」で親友役をやってたミッキー・サムナー(スティングの娘)がエリー役で主演するの、アリな気がする。あのパパ役をスティングがやったら面白いねw