Middle

英日翻訳者・ライター。行けるとこまで行きます。

「果てしなき輝きの果てに」

「果てしなき輝きの果てに」を読んで、フィラデルフィアのイメージがものすごく変わった。といっても、フィラデルフィアは映画「ロッキー」ぐらいの知識しかなかったんだけど。この本はフィラデルフィアケンジントン地区の通称バッドランドと呼ばれる、全米一純度の高いヘロインが安価で手に入る、ジャンキーの最果ての地みたいなところを舞台にした姉妹の話。母親が薬物中毒で自死して、生活苦の祖母に文句言われながら育った姉は大学進学を諦めて警官になり、妹は高校をドロップアウトして薬物中毒の娼婦になる。バッドランドで女性の怪死が相次ぎ、妹が路上から姿を消し、姉は警官のコネを使って妹を必死で探すのだが……ってところから、この町の深い闇が明らかになる。薬物中毒の連鎖とか、警察の汚職とか、性的虐待とか、貧困層の諦観とか。
BBCのこの記事を読んだら、町のイメージがだいぶ分かると思う。
「ヘロイン中毒者のたまり場閉鎖 米都市の根深い問題を露呈」
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-40933097
あとYoutubeでも「Philadelphia Badlands」で検索すると、使い捨ての注射針とゴミが堆積したひどい有様と、虚ろな目をした人たちがたくさん出てくる。
このコミュニティに脚を突っ込むと、薬物中毒じゃなくともそこから抜け出るのはよっぽど意志が強くて、努力もして、しかも運に味方されていないと無理なんだなと思った。希望もなくて、時間潰しみたいな人生、むなしすぎる。今、このバッドランドを一掃するクリーン計画が進行中らしいけど、オシャレなカフェとかが進出して、小ぎれいな住宅が建ちはじめたら、廃墟や線路脇に身を寄せていた中毒者たちは、また別の町に移動して同じコミュニティを作ることになるらしい。今度はどこになるんだろう。アメリカはコロナで失業者が増えて、薬物中毒者が増えているらしいけど、薬断ちするための効果的な策ってないのだろうか。中毒者にとって薬より、もっともっと魅力的なものって何なんだろう。

8/3(月)
映画ニュース翻訳
J案件

8/4(火)
映画ニュース翻訳
J案件

8/5(水)
映画ニュース翻訳
リサーチ
N案件

8/6(木)
映画ニュース翻訳
N案件

Kindle読書「果てしなき輝きの果てに」リズ・ムーア(著)読了
Kindle読書「ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち」J・D・ヴァンス(著)※5%