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英日翻訳者・ライター。行けるとこまで行きます。

「ヒルビリー・エレジー」

少し前に映画化されるという記事を訳してから気になっていた「ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち」を読んだ。オハイオ州ケンタッキー州の田舎町で育った著者J・D・ヴァンスの回顧録で、ヒルビリーアメリカの貧しい労働者階級)である自身の生い立ちや、そのコミュニティの実態を綴ったもの。ヒルビリーは早すぎる妊娠、離婚、家庭内暴力、失業、ドラッグ中毒、アルコール中毒のうちどれか、最悪の場合は全部の問題を抱えている家庭がほとんどで、最終学歴は高校を卒業すれば御の字という感じなんだけど、著者は高校卒業後、海兵隊に入隊し、オハイオ州立大学、イェール大学ロースクールへと進んで弁護士になった、ヒルビリーの異端児だそう。彼も他のヒルビリー同様に破綻した家庭で育ったんだけど、毒舌強烈キャラの祖父母からの愛情と幸運と本人の努力が奏功して、アメリカンドリームをつかむことができた。
読んでいて映画「ザ・ファイター」を思い出したのは、確かあれも白人貧困層からボクシングの世界チャンピオンが生まれた実話だったからだろう。あの映画でオスカーをとったボクサー役のクリスチャン・ベールと母親役のメリッサ・レオが、この本のJ・D・ヴァンスと祖母の関係によく似ている気がする。
トランプ支持者の実態ということでこの本が話題になったけど、外の世界に出て行く選択肢が初めからない場合、とりあえず今あるものを守るためにガチガチの保守になるしかないのかな。アメリカだけじゃなくて、どこにでも繁栄から取り残されたその国のヒルビリーはいると思うし、その人たちが慕う政治家は、彼らを利用するだけで決して助けてはくれない。保守に夢を託しても、彼らの問題は根本的には何も解決しないんだなと思う。

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