Middle

英日翻訳者・ライター。行けるとこまで行きます。

「ピクニック・アンド・ハンギングロック」

ジョーン・リンジー著「ピクニック・アンド・ハンギングロック」を先日、読み終わった。この本がまだ映画化されていなかったら、完全にソフィア・コッポラ案件だったろう。
「ピクニック〜」は、寄宿女学校アップルヤード学院の生徒たちが遠足に出かけた際、数名の少女たちが、不思議な力に導かれるように険しく美しい岩山に分け入っていき、最後には姿を消してしまう。まるで夢遊病者のように。少女たちがいなくなってから、学院は厳しく統制されていた秩序が少しずつ崩れていく。残されたほかの生徒たちは、大人には見えない霊を見て集団ヒステリーを起こしたり、侮蔑的で堅物の女校長について「校長のほっぺたって」「日なたで腐りかけてる魚みたいじゃない?」(すごい表現!)なんて残酷な言葉をささやく。
思春期の少女たちというのは、ロマンチストで思い込みが激しくて、特別な何かでいられる限られた時間の灯火を燃やして生きているみたい。この火が消えた後の世界を思って絶望したのが、失踪した少女たちかもしれないし、ソフィアの映画「ヴァージン・スーサイズ」の少女たちもそうだったんじゃないかな。ちなみに、ソフィアの「The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ」も、「ピクニック〜」の系譜を継いでいると思う。
ピーター・ウィアーが監督した「ピクニック〜」の映画の方はまだ見ていないので、夏が終わる前にぜひ見たい。

5/17(金)
映画ニュース翻訳
T案件

Kindle読書「Notes on "Camp"」スーザン・ソンダク(著)※26%