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英日翻訳者・ライター。行けるとこまで行きます。

ベトナムと距離感

ベトナムハノイから帰国した。わたしはホーチミンの方が好きかな。4泊5日の短い旅行だったけど、バイクの海を命からがら渡り、鼻の穴が真っ黒になるほど排気ガスを吸い、米麺と薄味のビールを喉から大量に流し込んで、自分はいつもと違うところにいるという異国感は味わえた。東南アジアで浸透しているというUberみたいな配車アプリ、Grabをインストールしていったものの一度も使うことなく、靴擦れができるまで毎日歩いてヘトヘトになり、持って行ったKindleは結局開かなかった。
ベトナムの人って、他人との距離感近くない? バイクや車と歩行者の距離も事故一歩手前みたいな近さだし、他人の体に接触することに抵抗ない文化なのかな? 空港の荷物ピックアップのところでおばさんに「ちょっと横入れてよ」みたいなノリでいきなりカジュアルに腕を触られたし、街中で暑くてTシャツを着替えていた白人青年の背中をこれまたおばちゃんが「あら〜若い!」ってな具合にバシバシ叩いて喜んでいるのを見た。なによりビックリしたのがGrabは車よりバイクが主流みたいで、そんな知らない人の後ろにいきなりまたがって、目的地まで背中に張り付くなんてことが普通にできちゃうの、すごくない? 車よりバイクの方が速いってのはわかるけどさ。わたし、知らないおじさんの腰に手を回して密着したくないよ。
日本にもこんなふうに他の国の人から見たら「えーっ!?」みたいなこと、たくさんあるんだろうな。外に出ないと、そういう違いが当たり前にあること自体を忘れちゃう。来年もまたどこかに行けるように、1年頑張ろうっと。

Kindle読書「掃除婦のための手引き書」ルシア・ベルリン(著)※25%