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英日翻訳者・ライター。行けるとこまで行きます。

映画・ドラマ

「ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地」

料理を作っても感想も感謝も言わない息子。毎朝靴まで磨いてやる必要があるのか。亡くなった夫はもともと好きで結婚した相手じゃなかったみたいだし、そんな奴の血を引いた気の利かない息子との生活を支えるために売春する人生じゃ、その張りつめた糸がいつ…

「カモン カモン」

ホアキンの妹役のギャビー・ホフマンって、「GIRLS ガールズ」でアダム・ドライバーのお姉ちゃん役やってた、一本眉毛&脇毛ボーボーのあの強烈エキセントリックな人だよね。彼女が子役出身だったこと、今回みたいな普通のお母さんも演じるんだなってこと知…

「コーダ あいのうた」

ろう者の貧しい漁師一家を支えるヤングケアラーの少女が、夢に向かって羽ばたく話。彼女には卓越した歌の才能があったから羽ばたくことが出来たけど、これがごく平凡な女の子だったら? と思うと複雑な気持ちになった。いろいろ甘いところがあって、もっと現…

「ナイトメア・アリー」

「I was born for it」って、ブラッドリー・クーパーが最後に獣人になると受け入れた時の顔! あんな複雑な表情、自分も鏡を見ながら真似してみたけど当然できなかった。役者ってすごい。 誰でもナイトメア・アリー(悪夢の小路)に堕ちる危険と隣り合わせで…

「THE BATMAN-ザ・バットマン-」

結局、また社会から虐げられた弱者が恨みを爆発させる話か、と思ったんだけど、同じコミックを何度も映画化してるんだから、それは当然だなとも思う。パティンソンのバットマンはクリスチャン・ベールよりも禁欲的でゴスみがあって良かった。パティンソンと…

「ロスト・ドーター」

「ロスト・ドーター」はオリヴィア・コールマンが素晴らしかった。母性がないのに産んでしまって、娘たちを捨てたことを後悔しながら生きているのが、見ていて苦しかった。彼女は「Fleabag フリーバッグ」も「ロブスター」もそうだったけど、あまり見ていて…

「フレンチ・ディスパッチ」

エイドリアン・ブロディは大してイケメンでもないのに、なんか色気がある。今回の映画もトンチキな役だったのに、誘われたらきっとついていく、そして後悔させられる、でもいい経験だったと思える、っていう訳のわからない魅力があった。なんだろう、スタイ…

「ウエスト・サイド・ストーリー」

アンセル・エルゴートは例の騒ぎですっかり見る目が変わってしまったので、映画を見ている間ずっと他の誰を起用すべきだったのか考えていたんだけど、結局べつにこの作品をリメイクする必要はなかったんじゃないかなと思った。貧しさと若さ故の暴走なんだろ…

「After Life/アフター・ライフ」シーズン3

「After Life/アフター・ライフ」シーズン3をイッキ見して、複雑な気持ちになった。あれはやっぱり、トニーは最後に死んだんだろうか。死んだ妻を見習って、周りに感謝の気持ちを示してこの世から消えたみたいな終わり方だった。気になってリッキー・ジャー…

「ミッドナイトアジア: 食べて・踊って・夢を見て」

Netflixのドキュメンタリー「ミッドナイトアジア: 食べて・踊って・夢を見て」を第1話の東京、2話のソウル、3話のムンバイまで見た。短期間ツーリストとして訪れるだけだと知り合うことのない人とか店が出てきて楽しい。日本のタレントがだらだら散歩して食…

「ラスト・ナイト・イン・ソーホー」

ソーホーのパブだとかカーナビーストリートをくるくる走り回るトーマシンちゃん、かわいかった。ロンドンのソーホーは20年前、私も毎日過ごした場所。懐かしくて泣きそうになった。トーマシンとアニャが万華鏡のように入れ替わる演出、素晴らしかったな。私…

「地獄が呼んでいる」

シーズン1を完走。「新感染」の監督作ということで期待していたけど、やっぱり骨太で見応えあった。「人間の罪とは」「裁きとは」という深いテーマについて考えさせられる構成で、新興宗教との関わりも面白いし、時折出てくる異常なテンションのYouTuberのシ…

「チェスナットマン」

殺しの手口が残忍で、現場に残されてる栗人形からも犯人の異常性が感じられて、なかなかワクワクしながら見ていたんだけど、最終的な犯人が「なんだお前か」みたいなオチだった。首相が女性で、大臣も女性で夫が主夫、事件を追う主人公の刑事も女性。さすが…

「Sweet Home -俺と世界の絶望-」

怪物ドラマ「Sweet Home -俺と世界の絶望-」をラストまでイッキ見した。怪物に感染しても人間らしさを失わなければ、醜い化け物にならず、せめてその中間の存在でいられる、というような内容。主役の男の子(ソン・ガン)が可愛くてスタイルよくてお肌がき…

「DUNE デューン 砂の惑星」

新しい方に分があると思うけどやっぱりドゥニ・ヴィルヌーヴ版の「DUNE」は、デヴィッド・リンチ版よりも圧倒的に美術が素晴らしかった。あと俳優がそれぞれグラマラス。シャラメの儚さとか色気とかカイル・マクラクランの比じゃないし、モモアもオスカー・…

「ブリジット・ジョーンズの日記」「10日間で男を上手にフル方法」

流し見できるような気軽なラブコメが見たいと思って、懐かしの「ブリジット・ジョーンズの日記」「10日間で男を上手にフル方法」を連続で視聴したら、思いがけず楽しんでしまった。ヒュー・グラントもマシュー・マコノヒーも当たり前だけど若い! ヒュー・グ…

ミカエラ・コール

「I May Destroy You」のミカエラ・コールがようやくエミー賞を受賞して、ライターたちに向けたその受賞スピーチが素晴らしかった。「自分が恐怖を感じたり、不安や不快な気持ちを抱く物語を書いて。さぁ、やってみて」「今の時代、露出していることがすなわ…

「ドライブ・マイ・カー」

濱口竜介監督の映画を初めて見たけど、「ドライブ・マイ・カー」面白かった。主人公の俳優兼演出家が「ワーニャ叔父さん」の舞台を作り上げていく過程と、彼自身が妻の死を受け止める映画の物語が並走する構成で、3時間という長尺に飽きずにずっと集中しなが…

「テッド・ラッソ 破天荒コーチがゆく」

iMacを買ってからApple TV+が無料で見られるようになり(1年限定)、ようやく「テッド・ラッソ 破天荒コーチがゆく」を見始めた。サッカーよくわかんないのにすぐどハマりしちゃって、配信分は全部見て、もう次が早く見たくてたまらない。 もともと主演がジ…

「ブラック・ウィドウ」

ナターシャ、お疲れさま。ほんとにいろいろ背負わされた重い人生だったねと、可哀想な気持ちに。少女たちへの精神的・肉体的搾取とか、マーベル映画なのによくよく考えるとすごくヘビーだったけど、エレーナの「あの決めポーズなんなの?」には笑いました。…

「トゥモロー・ウォー」

「トゥモロー・ウォー」は「インターステラー」と「オール・ユー・ニード・イズ・キル」を混ぜてこねて、食べやすい薄切りサイズにしたような映画だった。結果、食べても美味しくない。これは配信でなんかやりながら見るような作品。そういう意味ではアマプ…

「FYRE: 夢に終わった史上最高のパーティー」「カムバック・トゥ・ハリウッド!!」

「FYRE: 夢に終わった史上最高のパーティー」は今見ると、東京五輪の行く末を突きつけられているようで、鳥肌がたつようだった。「カムバック・トゥ・ハリウッド!!」はキャストが無駄に豪華なゆるゆるコメディ。デ・ニーロって、こういうイマイチな作品に…

「クワイエット・プレイス2」

お姉ちゃん、母、弟の3地点に分かれてクライマックスに向かっていくのが、上手いと思った。ラストの姉弟の活躍がシンクロするのもいい! 大人を守るのが子どもって、未来を感じる。続編って大抵がっかりするのに、すごく面白かったし感動して泣きそうになっ…

「ようこそ映画音響の世界へ」

仕事で資料として確認したかったのに、忙しくて見られなかった「ようこそ映画音響の世界へ」を、ようやく見た。音響さんの仕事って、オーケストラで言う指揮者みたいなものかな。背景音をすべて調整するんでしょ。それぞれの音を吟味するのに、ものすごい集…

「Mr.ノーバディ」

バスの格闘シーンがちょっと長すぎるかなとも思ったけど、あそこはノーバディが最初に覚醒するところで、相手を倒すだけじゃなくて生きてる実感とかフィジカルな感覚の喜びを取り戻してるってことだよね。「ファイト・クラブ」みたいな。ならば、1回バスから…

「ファーザー」

認知症患者の父と介護者の娘のほんわか感動映画かと思ったら、全然そんなゆるい作品ではなくて、むしろサスペンスみたいな緊張感が全編にみなぎっていた。これがオスカー作品賞を獲るべきだったよ。「ノマドランド」はあれはあれで良かったけれども、「ファ…

「アオラレ」

そういえば、この間「アオラレ」を見たけど、イマイチだった。煽り運転のラッセル・クロウはそりゃあもう怖いし、メンタル崩壊してるんだけど、ターゲットになる主人公の女性が自分勝手すぎて、彼女のせいで何も悪くない無関係の他者がどんどん死んでいくの…

「ピート・デヴィッドソンのNYから生"存"放送」

ピートのスタンダップを初めて見た。なんで彼がモテまくるのかわかる気がした。ひょろひょろした長身でお調子者で、かつ母性本能をくすぐるというか、不器用な小学生の男の子みたいな可愛さがあるんだ。911で消防士のお父さんを亡くして、今も母親の面倒を見…

「サンダーフォース 正義のスーパーヒロインズ」

メリッサ・マッカーシーとオクタヴィア・スペンサーの2人がスーパーヒーローになるっていう、そのアイデアだけでもう勝ってる。内容はもうゆるゆるだし、特別目新しさもないんだけど、Netflixで見るにはぴったりの映画(つまり劇場でお金払って見るまででは…

ネトフリ祭り

先週の「ジェントルメン」で火がついたみたいで、久しぶりに映画を見まくっている。「ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ」は役者は豪華なのに、クライマックスがあっさりしすぎていて、前評判通りイマイチだった。「密航者」も宇宙船内にいた謎の男の意図が謎…